『断熱、気密、結露』 科学的アプローチとしての家づくり 『伊那谷Style』No,39

断熱、気密、結露等をどのように考えて、設計に織り込んでいく事は環境デザインの第一歩。

これらを合わせて『外皮性能』と呼ばれており、現在の住宅設計では必須の内容です。

私たちの住む伊那谷は国の省エネルギー基準の4地域となっており、4地域に必要な外皮性能や各種断熱材の厚み等も示されています。しかし国が示す数値は最低基準でもあり、当事務所の実際の設計ではそれ以上の性能設計を行っています。

断熱材の仕様や厚みと合わせて壁体内結露させない断面設計が必須です。これらの性能設計は現代では全て計算により詳細な数値として安全か否かを判定できるようになっています。少し事例を紹介します。

 

 

この結露計算ソフトは岐阜森林アカデミー辻准教授作成のツールです。

 

断熱材までが室内側。

断熱材より外側が室外側

湿気の通りやすさが、室内側より室外側が5倍以上ならばokです。

 

吹込施工のセルロースファイバーでも室内側に気密層が無いと厳しいです。


 

 

同じく、木質系断熱材。

 

断熱材の調湿作用が有効との考え方がありますが、室内側の気密層が無いと厳しいです。

また、断熱材に湿気が含むと断熱性能は落ちます。

 

ほとんどの断熱材で、室外側耐力壁面材・室内側気密層無し の仕様では結露計算は不可になります。


 

 

室内側に気密層(気密シート)、室外側に面材耐力壁の壁仕様。

 

一般的には多く採用されている方法ですが、気密シートの透湿抵抗はとても高く、室外側にどんな耐力壁面材があってもへっちゃらで結露計算はokとなります。

その分、気密シート施工はシビアな施工が求められます。

 


 

(室内側耐力壁仕様)

 

構造用合板は透湿抵抗がとても高いので、室内側に張って気密層とします。当然、耐力壁の隙間は気密テープやシール等で気密施工します。

断熱材より外側は防風シート(タイベックシート)のみなので、壁体内結露は発生しません。

気密シートに比べて透湿抵抗が非常に緩やかなカーブを描きますので、現場での施工もやりやすい。

耐震性も筋違いよりも耐力壁の方が安心です。